先生~あなたに届くまで~
お互いひとしきり笑った後
先生が話し始めた。
「まぁ。でも新鮮だったよ。
自分で言うのもなんだけど
若いってだけで女子生徒には
キャーキャー言われることもあって。
でもそれって...何て言うかな...
教師として見られてないっていうか。
貫禄ねぇのかなぁとかさ。
だから浅川みたいに俺を嫌う目線は
新鮮だった。って俺何言ってんだろ。」
先生はバツが悪そうに笑って見せた。
その顔が可笑しくて
また少し笑うと
「ほんと何言ってんだろうな!!
今の忘れて!!」
と先生が焦っていて
また更に可笑しくて笑いが出た。
「浅川!!笑いすぎ!!」
先生は少し不機嫌そうにそう言った。
「先生。
私確かに先生のことチャラいって
思ってます。
自分でもキャーキャー言われてるって
思ってるみたいだし。」
私は先生の真似をして
少しからかう様な口調でそう言った。
先生はバツの悪そうな顔をしている。
「でも、先生のこと尊敬もしてます。
赴任してすぐなのに
全員の名前覚えてくれてたでしょう?
それに学級委員決める時だって...
私嬉しかったんです。
先生は私の言葉を
ちゃんと聞こうとしてくれた。
皆にお礼を言われたのも初めてでした。
それは先生のおかげだって...。
だから私先生のこと尊敬してます。」