先生~あなたに届くまで~
吐き気がする程の苦しさの中。
心をなくしたい程の悲しさの中。
俺は助けを求めていた。
「せんせい?」
優しい声が聞こえる。
美幸の声か?
「先生」だなんて
あいつはまたふざけてるな。
「先生?」
「ん...?美幸...?」
声がする方に手を伸ばす。
美幸が戻ってきたんだと安心した。
またぎゅっと握ると消えてしまいそうで
逃げない様に消えない様に
そっと腕を掴んだ。
温かい。
このまま消えないで。
「先生...。」
もう一度呼ばれた声にはっとする。
そこにいたのは浅川雪音だった。