先生~あなたに届くまで~
どこからが夢で
どこまでが現実だったのか。
胸を占める切なさは
驚きのおかげで少し和らいでいた。
「先生...日誌。」
彼女が出した声は震えて掠れていて
頬には涙が流れていた。
その涙はまるで俺の代わりに
泣いてくれている様で胸が締め付けられた。
「どうして浅川が泣くの?」
尋ねる俺の言葉に彼女は何も答えず
首を横に振った。
ポロポロと零れる涙が
俺の悲しみも苦しみも
一緒に流してくれる様で
愛おしく思えた。
「浅川は優しいな」
と自然と口にした自分に驚き
ふっと笑いが出た。
俺は躊躇うことなく
浅川に触れた。
まるで自分を慰めるかのように
優しく頭を撫でた。