先生~あなたに届くまで~

皆ブーイングをしていたのに諦めた様に
静かに小テストを受け始めた。

先生が机間巡視を始める。

後ろの方の席で

「先生ここの答えは?」

「答えを言うわけないだろ!!」

という、やりとりが聞こえて
クラスは一瞬くすくすと笑いが起きた。

「ほらほら!!
 静かにやれよ!!あと5分だぞ!!」

と先生が言うとまた静かになった。


先生の足音がこっちに近づく。

ただそれだけなのに
胸がドクドクと鳴る。

先生の影が私の少し後ろで止まる。

小さな声で「あっ」と
呟いたのが聞こえた。



その声にそっと影の方に振り向く。



先生はこちらを見ていた。
そして私に苦笑いを浮かべ

「赤ペン貸してくれない?」

と私にしか聞こえない声で囁いた。


< 64 / 220 >

この作品をシェア

pagetop