先生~あなたに届くまで~



赤ペン?



先生と目が合ったことで
ぼーっとしてる頭を働かせる。

“あー赤ペンね”

と理解したら
先生の気まずそうな顔が面白くて

必死に笑いを堪えながら
慌てて筆箱の中から赤ペンを取り出した。


肩を震わせながら
先生に赤ペンを渡すと

「サンキュ。悪いな。
 
 けど笑いすぎ。」

先生はまたバツの悪そうな顔をして
私のおでこをつついて
教壇の方へ歩いて行った。


その顔がやっぱり面白くて
触れた指の温度が心地良くて
小声のやり取りが
二人だけの秘密の様な気がして



心が温かくなった。



「よし!!じゃあ出来たやつから
 前持ってこい!!
 今どこがわかってないか知ってた方がいいだろ?
 授業中に採点終わらせるから!!」

先生のそういう所を尊敬している。

教師として
本当に私達のことを考えてくれている。


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