先生~あなたに届くまで~

さっきまで軽かった足取りは
嘘のように重い。


“これが女の勘ってやつだろう”と
客観的な自分もいて
不思議な感覚になった。


後藤さんか....。
いつも先生の周りにいた子の一人。

顔は可愛いし女の子らしい。
どちらかというと春菜タイプだ。


“何か嫌だな”


でも気になってしまう。

そんな事をぐるぐる考えていると
社会科準備室の前まで来ていた。


やはり静かな棟だ。


この静けさが今日はやけに息苦しい。
心臓がドキドキしていた。

ダメだと思いながら耳を澄ます。

小さな声だけど内容はハッキリわかる。



“女の勘は当たるらしい。”



タイミングも良い事に

「先生が好きです。」

そう言った後藤さんの可愛い声が聞こえた。


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