先生~あなたに届くまで~
離れる距離
「浅川...?」
先生が私を呼ぶ声がする。
声を聴くと
涙は止めどなく溢れた。
先生が落とす影を見る。
黒い影ですら愛しさを感じるのだから
私ももう病気だ。
そのまま顔をあげる。
先生は困った顔で私を見降ろしている。
先生は私に目線を合わせる様に
すっとしゃがみ込んだ。
「浅川...?」
「せ、せん..せい..。
先生...。」
言葉に出すと
涙は勢いを増して溢れた。
「先生。私...。
私...。」
「浅川はよく泣くな。」
先生はふっと笑いながら
私の涙を指ですくった。
「先生...。」
「何があった?
話せないこと?」
私は何も言えずに下を向く。