先生~あなたに届くまで~
私が捲し立てて話した後の廊下は
驚くほど静かで...
私の上がった息と泣く声だけが
うるさく耳についた。
「浅川...。
聞いてたの?」
先生が抑揚のない声で言う。
盗み聞きした自分が恥ずかしくて
凄く悪いことをした気がして
何も答えられない。
先生の顔も見れない。
「浅川。
お前にどう聞こえたかはわからない。
でも俺は...誰が告白してくれても
同じ様に応えるよ。
それが俺が出来る
唯一の誠意だと思ってる。
それに俺にとって
お前たちは本当に大事な生徒なんだ。
今もこれからもそれが俺の応えだよ。」
“大事な生徒”
“今もこれからもそれが応え”
先生の言葉が胸に刺さって
もう涙も出ない。
まるで頭も心も
からっぽになったみたいで
何も思い浮かばない。
何も考えられない。