先生~あなたに届くまで~

恐る恐る顔を上げる。

春菜がポロポロと涙を流していた。

早絵は切ない顔をして
私の手をぎゅっと握ってくれた。


私は我慢していた涙が
一気に溢れだした。

「ゆき..ね..。
 辛か..ったね。悲し..かったね。」

春菜はまるで私の分も泣いてくれる様に
息を詰まらせながら泣いてくれる。


「辛い思いをしたのね。」

早絵は握ってくれる手に
ぐっと力を入れて怒りを噛み殺している。



“私なんて馬鹿なんだろ。
こんなに私のこと思ってくれてるのに。”



信頼しきれなかった自分を悔やんだ。
自分の愚かさが恥ずかしかった。


「2人とも...ごめんね。
 私...それから..誰かと深く関わることが
 怖かったの。

 失う事を考えると...怖くて。
 
 だけど2人には本当の思いを
伝えたかった。」

春菜と私の泣く声が風に消えていく。

「雪音。
 私達は雪音を裏切ったりしない。」

早絵が私を真っ直ぐ見て力強くそう言った。
春菜は必死に首を縦に振ってくれた。


「ありがとう。
 本当にありがとう。」


涙が止まらなかった。





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