スマイリー
プロローグ
ゴツっと鈍い音が青空に響いた。
「頭良いお前に分かってもらおうなんざ思ってねぇよ」
殴られた頬を押さえて、仰向けに倒れた視界の端に、大股で行ってしまう仲間の足がちらりと映った。
「…なんで」
起き上がった頃には、仲間の背中は遠ざかり、小さな黒点となってなお、自分を威圧的ににらんでいた。
殴られた拍子にポケットから飛び出た生徒手帳を、通りすがりの女子生徒が拾ってくれたようだった。
手帳を渡され、大丈夫?と聞かれ、大丈夫。と答えた。女子生徒がそのまま帰って行くのを見送って、自分もすごすごと歩き出した。
1年ほど前のことだったと思う。
「頭良いお前に分かってもらおうなんざ思ってねぇよ」
殴られた頬を押さえて、仰向けに倒れた視界の端に、大股で行ってしまう仲間の足がちらりと映った。
「…なんで」
起き上がった頃には、仲間の背中は遠ざかり、小さな黒点となってなお、自分を威圧的ににらんでいた。
殴られた拍子にポケットから飛び出た生徒手帳を、通りすがりの女子生徒が拾ってくれたようだった。
手帳を渡され、大丈夫?と聞かれ、大丈夫。と答えた。女子生徒がそのまま帰って行くのを見送って、自分もすごすごと歩き出した。
1年ほど前のことだったと思う。
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