スマイリー
駅から程近いファミリーレストランに着いた。わざわざ都市部に出てきてまで行くような所ではない、安くて旨い全国チェーン。



「いらっしゃいませ」

「ふたりで」

「お煙草はお吸いになりますか」

「吸いません」



飲食店特有のやりとりを一通り済ませて、席に案内される。



「さぁて、何頼もうかな」



「3000円くらいまでにして下さいよ」



食べる気満々の藍に、進は慌てて釘を刺した。財布には一応諭吉がひとりと野口がふたり控えているが、今日の出費を考えると今月は無駄遣いも抑えていかなければならない。



「3000円も使わないわよ。ここ安いしね。お腹いっぱい食べても2000円切るわ」



何度聴いても惚れ惚れするその声に動揺して、たまに進は返答が遅れる。
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