スマイリー
「付き合っていたんじゃないのか?お前ら仲良すぎだったからな。だれでもそう思うぞ」

あきらは1年の時、生徒会の関係で藍と接点があった。陸上部ではなかったが、何度か一緒に帰っているところを見られたことがある。

「あれは噂だよ。藍さんも言ってただろう?俺にとったら姉さんみたいなもんなんだ」


「…ふーん」

あきらは興味を失ったような相槌をうった。

「あんなきれいな姉さんがいたらうれしいもんだね、本当に」

あきらは、進の触れられたくない心中を察したかのようにごく自然に話を打ちきった。


と、ここで終業のチャイムがなる。

「あ、メシどうするよ?」

礼をすると教科書をカバンに無造作に放り込みながらあきらが進に尋ねた。


進の脳が、藍を思い出してきていた。薄れていた記憶が徐々に鮮やかになってきた。


「なぁ!進」

もう一度あきらが叫んだ。そこで初めて進は自分が呼ばれているのだと気付いた。

「どうした?うどん食べようぜ」

あきらは教室の外側から進をにらんでいる。

「…うどんか。いいねぇ、風流で」

進は立ち上がると、有華の机をちらっと見た。

だがすぐに荷物を持ち上げ、あきらの後を追って教室を飛び出した。
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