スマイリー




もちろん、そんなに確定的な目標があったわけでもない。



あの創世夢を見なければ、今日藍に会うことも、こんなに悩むこともなかったろう。



「メシをおごる」なんていう約束も社交辞令、要はリップサービスと言うことにしておけばよかったのだし。



「まぁ、でも何か立ち直った。全体的に進のおかげだわ。マジで」



ただ、そう言って笑う藍を見ていると、これで良かった気もしてくる。



傷心の藍は進のおかげで立ち直り、大地ともきっと仲直りする。



今日はこれで十分意味があったじゃないか。



昔の気持ちを打ち明けて何になる。今の気持ちは有華との贅沢な2択で揺れてるくせに。



心の中の自分がそう吐き捨てた。



“そりゃあ…うん、そりゃあそうだ”



厳しい言葉をかけてくるもうひとりの自分に反論の一言も見つからなくて、進は小さくため息をついた。
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