スマイリー
「…好き…進が、あたしを」



進の言ったセリフを、理解するように、咀嚼するように、ゆっくりと藍が復唱した。



「進が…あたしを、好き?」




2、3回、少しずつ言い回しを変えて進のセリフを繰り返した後、藍は押し黙った。





ざわざわ、と、ホームのささやかな喧騒が、ふたりの間の静寂を強調する。





「…有華は?」



そして、その数十秒の静寂を破って口をひらいたのは結局藍の方だった。



「いや、なんというか、今藍さんが好きとか、大崎とか、それは…その、よく分からなくて」



それ以上は言葉がでてこなかった。



「ふぅん…?」



数秒、考えるように視線を地面に落とした藍だったが、すぐに顔を上げて、



「100年早い」



コツっ、と、その右手のこぶしに、進の額を襲わせた。
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