スマイリー
翌日の空はカラリと晴れて、おととい、昨日と容赦なく降り続いた雪をせっせと溶かしている。



学校へ続く大通りに出ると、いつものようにあきらが追い付いてきた。



「よう」



「あきら。自己採点したか?」



結果は分かっているけれども、今朝話すことなんてこれしかない。とはいえ、みんながみんな出来ているワケはないから、それなりに話題には気を遣う1日になるだろう。でも、あきらに限ってそんなことはあり得ないから、一言目からセンターの結果を聞けるのだった。



「とれたよ。いつも通りだ」



案の定あきらはニヤリと笑って、ピースサインを突きつけた。



「あっさり言ってくれるな。あきらじゃなかったら殴ってる」



「グーで?」



「グーで」



ははっ、と声を出して笑うと、あきらは進の肩をわざとらしく抱いた。



「なんだよ?気持ちの悪い」



「お前から結果を聞いてきたってことは、俺が聞いても大丈夫ってことだよな?進よ」



「そんなこと分からんだろ」



「…来たんだな?」



耳元であきらがささやく。普段なら気持ち悪くて突き返すけれど、今回ばかりは我慢できた。



「来たよ、3回目がね」



「やり!おめでとう進っ」



思いっきり背中をばちっと叩かれて、進は2メートルは前につんのめった。
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