スマイリー
その日それぞれの学校、教室にて3年生がやることは、大手予備校が弾き出した正規の解答を見ながら自己採点をすることだけ。



ほとんどの生徒は、前日の解答速報で答え合わせをしてしまうのだが、解答速報と正規の解答では、数問答えが修正されていることがある。



だから、生徒たちはもう一度学校で、より信憑性の高い正規の解答で自己採点をするのだ。



進の点数は変わらず、やはり去年の西京のボーダーを30点ほど上回る結果となっていた。



進はざわつく教室の対角、廊下側の最前列に座る有華の方を見た。



有華も、採点を終えているようだった。しかし、



「…なんか、元気ないか?大崎」



「わ。うしろからいきなり声かけるなよ」



「いつもうしろからいきなり声かけてるだろ、俺」



あきらも気付いているみたいだった。友達としゃべっている有華の表情は、確かに笑顔なのだけど、その笑顔はどこか曇っているようだった。
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