スマイリー
「頼むよ。やってあるんだろう?貸してくれるだけでいいから」

「進、さてはあたしのノートそのまま写す気でしょう」



「あ、いや、そんなつもりは…」



そんなつもりである。古典や数学の課題も溜まっているのだ。



「ちゃんとやらないから模試ができないんじゃないの?見てあげるからウチでやっていきなよ。自分のノート持ってるんでしょう?」

「…え?」



事態は思わぬ方向へ進み始めた。



「だから、分からない所あったら教えるからあがっていけって言ってるの。聞いてる?」



再び心臓の鼓動が早まってきた。



「え、いや、でも、親御さんとかいるんだろ?入りづらいよ」

「いない。ふたりとも出かけた」



「じゃあ尚更いいって!あきらとやるから」

「結局あきらくんのノート写すだけでしょ。自分でやらなきゃだめ。ほら、早く」



まさかの事態。これこそ不可抗力だ。そう思いながら、進は有華に手を引かれ、大崎家へ潜入した。
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