スマイリー
「いや、俺こそ生意気言っちゃってごめん。ていうか、ちょっとキャラ変わってたかな、俺」



照れているのか敬太は頭をがしがしとかいた。



「そんな、俺あんまり翔一のこと考えずに、ひどいこと言っちゃって」



「そう思うなら早く仲直りしなよ。大丈夫、進は部員全員から信頼されてるから。なにせ市川と大地の一番弟子だからね」



そう言うと、今度こそ敬太はきびすを返して西門の方へ向かって歩き出した。



「進が入部した時から、俺は進には一番期待してたんだ。あ、もちろん今もだけど。きっと大物になるよ、進。じゃ、色々楽しみにしてるから」



後ろを向いたままそれだけ言って、敬太は西門の奥へ消えていった。



進は立ち上がり、西門に向かって深々と頭を下げた。



周りにいた下校途中の生徒数人には不審に見られたかもしれないが、進は頭を下げたまま、何度も礼と謝罪を心の中で繰り返した。
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