スマイリー
有華は、例の出来事のあと、なぜだか一層話しかけてくれるようになった。ある種の罪悪感ゆえか、はたまた使命感か。どちらにしろおかげで進も、勉強のことを聞きやすくなった。
西京に行くことを断言していながら、有華は毎日遅くまで勉強しているようだった。有華の性格上、西京と言えど気を抜けないから、という理由で片付けられるだろうけれど。
気になることがあった。
「隠してるっぽいけど、あいつ世界史と生物も勉強してるんだよな」
単なる知的好奇心か、それにしてもこんな時期に勉強することもないだろうに。
「私立大のどこかで使うのかな」
聞き慣れたチャイムが鳴り響くと同時に、岡田が教室に入ってきた。
それと同時に息をせき切らしたあきらも後ろの引戸から教室に飛び込んできた。