スマイリー
朝の意気込みはどこへやら、帰りの挨拶を済ませると進は席にどかっと座り、うなだれた。



「おう。満身創痍だな、進」



「やっぱり帝大は甘くないな…」



今日1日で解いた国、数、英の対策問題をあきらに渡して、進はため息をついた。



「んー…まぁ英語以外はそこそこなんじゃないか」



「どこが。フォローされると逆に傷つく」



進の結果は数学5割、国語4割5分、英語採点不能。



「英語…白紙じゃん」



「分からなすぎて手が動かなかった」



「“帝大英語”のレベルは伊達じゃないってことだな」



二次試験対策の授業には、国、数、英の講義の上に、“帝大国語”“帝大数学”“帝大英語”という講義がそれぞれ設けられている。文字通り、7つの旧帝国大学を志望校とする生徒のための講義だ。



帝大は旧・帝一の東都大を筆頭に、帝二大から帝七大まで各地に点在している。



必ずしも数字順に難しいわけではなく、進の志望校である帝二大は中間ほどの難易度であるが、それでも西京や心学社と比べると、レベルそのものが違うと言っても過言ではない。



だからと言って合格点が低いというわけではもちろんなく、センター試験の得点に余裕のない進には、平均で6割5分の得点率が要求される。
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