スマイリー
自習していたクラスメイトはひとりも残っていなかった。進は置きっぱなしにしていた荷物を片付け、自分の教室を後にした。



有華は、図書室で美紅が自習しているから、彼女とふたりで帰るとのこと。



寒さに身震いしながら、進は正門に向かう。



正門を出て駅へ続く道は車もよく行き交うし、大通りのためとても明るい。女子ふたりに歩かせてもさほど危険なことではない。



「にしても怖かったな、大崎のやつ」



まぁあれだけ執拗に受験校について詰問されれば、誰でも怒るだろう。



ただ、日下部の言い分も分かる。的を得ているし、理解もできる。“宣伝効果発言”もおそらく有華に殴らせて東大を受けさせるためだ。本当にそう思っているわけではないはず。



有華の学力を活かすには、東大、あるいは他の帝大が適しているに決まっている。全国模試で2ケタの順位をとるほどの秀才だ。



進たちの高校に入学してから伸びたのだろうか。そうでなければ県内一の進学校である西高に入学しているはずである。



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