スマイリー
14 怒る有華、現れる三本柱
翌日。土曜日。午前8時30分。2、3年用の昇降口。



雲ひとつない青空の下、進は荷物を足元に下ろし、仁王立ち。有華を待つ。



聞きたいことがあった。



敬太が好きならそれでいい。そのまま西京に行って、敬太と陸上を楽しめばいい。



ただ、進としては引っ掛かる部分があった。



それは別に進がどうこう言う類のものではないし、進が無視したところで進の近い将来にはさほど大きな変化をもたらさない。



しかし、そのままにしておけば、もしかしたら有華にとっては影響があるかもしれない。そう考えると、進としても確認しておかずにはいられない。



有華を怒らせる可能性もある。



だが、有華の未来のためには、やらなければならないことであるはず。



すこし大仰な言いぐさになってしまったか、と考え直した矢先に、西門からやってくる有華の姿を、進の目はとらえた。
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