スマイリー
「関係ないって、マジで言ってる?」



「関係ない。進にこんなこと言うなんて想像もしてなかった。あたしが西京行くことがそんなにいけない?」



案の定有華は怒ってしまったようで、強い口調で進に反論した。有華が喋るたびに、進の胸はずきんと痛む。それでも有華のためを思えば言うしかないのも分かっていた。



「大崎、お前に少しでも東大に行く気があるなら日下部の言う通りだ。受けなかったら絶対後悔する」



バチンっと、頬に目の覚めるような痛みが走った。有華の左の手のひらが、進を襲っていた。



「なんで進がそんなこと言うの」



「敬太先輩だって、大崎の成績聞いたら東大すすめるに決まってる。少なくとも西京に誘ったりはしない」



泣きそうな顔で主張する有華に、進は頬を押さえたまま説得した。



「あたしは東大なんて行きたくない!」



「じゃあもう勉強するな。生物も世界史もやるな。さっさと願書出せ。迷ってるから願書出せないんだろう」



そのセリフがとどめになったようだった。
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