スマイリー
15 試験当日の出来事
最北端の帝大、帝国第五大学の入試が、大雪のため延期になった。



2月25日。



「準備できたか?お、制服で行くのか」



父・茂(シゲル)が息子に声をかけた。



「気が引き締まるからね」



「そうか、頑張れよ」



「うん、いってきます」



受験票に、財布、筆箱、腕時計、携帯電話、熱いお茶に、チョコレート。



フル装備で家のドアを開ける。薄曇りの空の下、冷たい風が吹き付けて、進はマフラーをさらにきつく巻き直す。



準備万端、体調万全。



英語には未だ一抹の不安あり。



入試は待ってくれない。今ある学力だけでやりくりするしかない。



ただ、センター試験のときよりは、いい精神状態だ。なんとかなりそう、そんな気がする。



いや、そんなものではない。



落ちる気がしない、そんな不届きな感覚だ。



進は勢いよく、かつ軽快に歩幅を広げる。



目的地は、帝国第二大学。県内トップの有名国立大学だ。
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