スマイリー
「もう帰るのか、小林」



髪質を確かめるように頭をわしゃわしゃと掻きながら、進は淳也に尋ねた。



「そうですね。あとは用事済ませて帰るだけです」



「用事って何だよ」



「沙優からの伝言を伝える用事です」



いつの間にか沙優のことを下の名前で呼んでいる淳也。進の知らないところで色々と進展があったのだろう。



「伝言。誰に」



「前島先輩に」



進の鼻っ柱を指差して、淳也は淡白に答えた。



沙優とは伝言をもらうほどの関係になった覚えはない。淳也の話し方からして、緊急の用件ということではなさそうだが。



「何て」



「大崎有華先輩が前島先輩を探していた、と」



「…は?」



頭の中にクエスチョンマークとエクスクラメーションマークが無数に発生した瞬間だった。有華が?いつ?どこで?どうして?
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