スマイリー
「もう俺行くわ。部活のお別れ会の途中なんだよね」
進は髪の毛が乾いたのを触って確認した。正樹に仕返しをしなければならない。
「あ、そうだ。電話番号も教えてくれよ。東京遊びに行ったら案内して欲しいし。そういや色々あったのに聞いてなかったよな」
「…そうだね、教えてなかったなぁ」
有華は意地悪く笑い、目を細めて進の顔をじろりとにらんだ。
「な、なんだよ」
「東京案内に、電話番号ね。教える代わりにあたしのお願い聞いてよ。2つだけ」
明らかに悪意を感じる表情に、進は少々ひるんだ。
「お願いって、なに」
「秘密」
「なんだそりゃ。怪しすぎるぞ」
「お願い聞いてくれなきゃ教えないよ」
無邪気で魅力的な笑顔が余計に怖い。
「電話番号、美紅に聞こうとしても無駄だからね。あきらくんも、敬太先輩も同じ。ねぇ、大したお願いじゃないから」
有華の猫なで声と笑顔が発する麻薬的な物質が原因か、進の判断力を容赦なく鈍らせた。
「…分かったよ」
「やった。進、えらいっ」
有華は満面の笑みを作ると、胸ポケットから携帯を出して、進に渡した。
進は髪の毛が乾いたのを触って確認した。正樹に仕返しをしなければならない。
「あ、そうだ。電話番号も教えてくれよ。東京遊びに行ったら案内して欲しいし。そういや色々あったのに聞いてなかったよな」
「…そうだね、教えてなかったなぁ」
有華は意地悪く笑い、目を細めて進の顔をじろりとにらんだ。
「な、なんだよ」
「東京案内に、電話番号ね。教える代わりにあたしのお願い聞いてよ。2つだけ」
明らかに悪意を感じる表情に、進は少々ひるんだ。
「お願いって、なに」
「秘密」
「なんだそりゃ。怪しすぎるぞ」
「お願い聞いてくれなきゃ教えないよ」
無邪気で魅力的な笑顔が余計に怖い。
「電話番号、美紅に聞こうとしても無駄だからね。あきらくんも、敬太先輩も同じ。ねぇ、大したお願いじゃないから」
有華の猫なで声と笑顔が発する麻薬的な物質が原因か、進の判断力を容赦なく鈍らせた。
「…分かったよ」
「やった。進、えらいっ」
有華は満面の笑みを作ると、胸ポケットから携帯を出して、進に渡した。