スマイリー
「これ、赤外線どこだよ」



「願い事、そのいちぃ」



進の質問を無視し、有華は進の前にずいっと歩み寄ってにこりと笑った。



「今からあたしと帰って」



「えぇっ?追いコンサボれってことかよ」



「そう。もう拒否権ないからね」



驚いて開いた口をふさげない進にさらりと言うと、有華はもう西門に向かい歩き出した。



「ま、待て。2つ目の願い事は何だ、大崎」



「それは帰り道で発表。ちゃんとウチまで送ってね」



慌てて問いただす進を振り返って、有華は定番の笑顔を崩すことなく答えた。



その笑顔に文句も言えず、それどころか悪い気すらしない自分に腹を立てつつ、進は有華を追いかけた。有華につられて笑顔になってしまうのだけはなんとか堪えた。
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