スマイリー
「で?そんなに模試悪かったの?」

制服の移行期間も終わって、生徒は全員冬服を着て登下校する。


進の高校では、女子はオーソドックスなセーラー服、男子は学ランである。


特に女子の冬服は、有華のように着る人が着ると、学校の男子だけでなく他校からも評判が良いのもうなずける。

「悪いってゆうか、変わらねぇってゆうか」

有華に悩みをうちあけても仕方ないとは思ったが、相手は学年トップである。何か突破口が開けるかもしれない。

進は、よほど行き詰まっていたのだろう。模試の偏差値の伸びの悪さ。このままでは志望校に受からないという担任の脅し。大きすぎる親の期待が息苦しくて家にいても心が休まらないことなど、まるで悩みの原因が目の前の有華にあるかのようにつらつらと不満を並べた。


有華はそれに何を口出しすることもなく話を聞いていた。たまに「へぇ」「うん」と、相槌を入れるだけだった。



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