スマイリー
正門をくぐると、4階建ての校舎が生徒たちを待ち受けている。
各学年400名ずつ、全校生徒1200名という、なかなか大規模な高校だ。
「じゃあ、あたしこっちなんで」
沙優たち1年生の昇降口は、2、3年生とは別の位置にある。正門をくぐって右に進むと進たち上級生の、左に進むと1年生の昇降口がある。
「あの、色々ありがとうございます、進先輩。勉強頑張ってくださいね」
沙優は進に向かってお礼を言うと、くるりと振り替えって歩き出した。
「あぁ、沙優ちゃんも」
進は、沙優の背中に向かってそう声をかけた。
沙優はこちらを振り返って、笑顔で手を振ると、1年生用の昇降口に消えていった。
沙優の笑顔を見て、彼女を助けたい気持ちが一層燃え上がったのを進ははっきりと自覚した。
「おい、なんでお前にだけお礼がいくんだよ」
沙優の姿が見えなくなると、あきらが不満そうにかみついた。
「あんたはお礼を言われるようなこと、してないからでしょ」
美紅がバカにしたように言い放った。
「くそう、藍先輩に、大崎に、沙優ちゃんに…。お前そのうち刺されるぞ」
ふてくされたようにあきらが呟いた言葉は、もちろん冗談だ。しかし、進にとってはなかなか鋭い忠告であることには間違いなかった。
各学年400名ずつ、全校生徒1200名という、なかなか大規模な高校だ。
「じゃあ、あたしこっちなんで」
沙優たち1年生の昇降口は、2、3年生とは別の位置にある。正門をくぐって右に進むと進たち上級生の、左に進むと1年生の昇降口がある。
「あの、色々ありがとうございます、進先輩。勉強頑張ってくださいね」
沙優は進に向かってお礼を言うと、くるりと振り替えって歩き出した。
「あぁ、沙優ちゃんも」
進は、沙優の背中に向かってそう声をかけた。
沙優はこちらを振り返って、笑顔で手を振ると、1年生用の昇降口に消えていった。
沙優の笑顔を見て、彼女を助けたい気持ちが一層燃え上がったのを進ははっきりと自覚した。
「おい、なんでお前にだけお礼がいくんだよ」
沙優の姿が見えなくなると、あきらが不満そうにかみついた。
「あんたはお礼を言われるようなこと、してないからでしょ」
美紅がバカにしたように言い放った。
「くそう、藍先輩に、大崎に、沙優ちゃんに…。お前そのうち刺されるぞ」
ふてくされたようにあきらが呟いた言葉は、もちろん冗談だ。しかし、進にとってはなかなか鋭い忠告であることには間違いなかった。