スマイリー
「それより進先輩って、大崎有華先輩と同じクラスだったんですね」



周りを気にするように、急に小声になった正樹が進に耳打ちした。



「知ってるのか?大崎のこと」



進が尋ねると、正樹は進の隣の空いてる席にちゃっかりと座って続けた。



「いや、あの人前期の生徒会長でしょ。そうでなくても噂くらい聞きますけど」



「あぁ、生徒会長ね…そういやそうだったな」



確かに、有華は生徒会の活動にもよく従事していた。



1年の時も2年のときも、毎回生徒会の役員選挙に出ており、そのたびに書記か会計か、何かしらの役職に就いている。



生徒会役員なんてそう大人数が立候補するわけではないのだから、実際のところ各役職は立候補者数が定員丁度だったりして、信任投票という形で有華が役員に当選するのは割と日常的な光景だったといえる。



よく考えてみるとこの事も、有華を校内規模で有名にさせている原因のひとつになるだろう。正樹たちが有華を知っているのは何も特別なことではない。



というか、今回の進の作戦はそれが前提となるものなのだから、そうでないと進は困る。
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