スマイリー
この後、ふたりは進が脳裏に描いていた、正樹曰く「ふわふわした作戦」をなんとか地上に着陸させることに成功した。



話し合いの結果、沙優の人柄からして、彼女が根っからの善人であると判別するには、ほんの少々の会話で足りるだろう、ということになった。



少ししゃべったことがあるくらいの正樹がここまで協力するくらいだから、という、一応の裏付けはある。



先輩である進の頼みを渋々受けているだけ、という可能性も拭いきれないではないが、進自身が彼女の人柄に直に触れ合っているし、まぁ男子に限って言えば沙優のような女の子と喋りたくない奴なんて、いるはずない。



「どうやって話しかけましょうか。自然に接点が持てて、一回きりじゃなく何回も話しかけられるような話題がいりますよ」



という、もっともな意見が出たが、帰国子女の沙優に英語の問題を聞く、と言う無難かつ最善(に見える)な策を進が挙げることで、なんとか進は先輩の威厳を保った形となった。



この作戦会議が大方まとまったところで、タイミングを見計らったように授業開始5分前のチャイムが鳴り響く。
< 89 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop