スマイリー
「進、何してんだ?予鈴鳴ったぞ」



いつの間にかあきらと美紅と有華は、片付けも済ませて廊下に出てきていた。進と正樹からは遠い方の扉から廊下に出たようで、話は聞かれていなさそうだ。



「ごめんごめん。部活の後輩なんだ、こいつ。久しぶりに会ったから」



「杉山正樹です。はじめまして」



3人と向かい合って、余所行きの笑顔で挨拶する正樹は、本当にさっきまでぶつぶつ文句をたれていた奴と同一人物なのかと、進は疑いを持たずにはいられなかった。



「何してたの?進さぁ、主催者のくせに全然沙優ちゃんとしゃべってないじゃん」



有華が口を尖らせた。



「そうだな。それは、あー、なんだ、申し訳ないと思ってるよ」



口ではそう言ったものの、進の記憶では、沙優はずっと有華と話していたので、進の中では大成功だった。



果たして大宴会はお開きとなり、進率いる3年生4人組は颯爽と1年5組を後にした。



帰り際にもう一度教室内を眺めると、こちらに向けて控えめに手を振っている沙優の少し後ろで、正樹が俺に任せろと言わんばかりのガッツポーズを進に向けているのが見えた。
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