デイズ~Dear my mind~
海以が生まれてから、父さんと寝ることがなくなった。
畳の部屋は3人分のふとんしか敷けなくて、女3人そこで寝て。
父さんはリビングだったり、他の部屋だったりを転々としていた。
そしてうちが年長のときは、夜遅くまで父さんが帰ってくるのを待っていたという記憶がある。
昔もそうだったのかもしれないけど、なぜか海以が生まれた後の、その印象が強い。
海以はそのとき1歳になって間もなかったというのに、6歳のうちと母さんと夜の11時過ぎまで起きていた。
ある日の夜、いつものように母さんがうちと海以に絵本を読んでいたとき、海以が突然泣き出した。
まあこんな夜遅くまで起きてたんだから、今考えてみれば当たり前なんだけど。
その時母さんは、海以を無視して絵本を読み続けた。
うちも邪魔されるのが嫌でほうっておいた。
母さんのその行動に疑問を抱かなかったそのときの自分が怖い。
本当はこんなこと、あってはいけないはずなのにね。
でもその非道な行動が偶然の賜物を運んできた。
力強く思いっきり泣く海以が、立った。
支えなしで、初めて立ったのだ。
今まで絵本ばっかりに関心がいっていたうちと母さんだけど、すごく喜んだ。
こんなときばっかり、って感じで薄情かもしれない。
でも、泣いてる海以の声をバックミュージックに、2人でキャーキャー喜んだのを今でもはっきり覚えてる。