デイズ~Dear my mind~


その日を境に、そのおじさんは頻繁に母さんと、うちらを迎えにくるようになった。


そして、迎えが遅くなる日がどんどん増えていった。


前までは平均して5時くらいだった迎えの時間。


7時過ぎ頃に迎えに来る日も、だんだん多くなっていった。


そんなときは、たまらなく寂しかった。



迎えに来るのがすごく遅くなる家庭は、あらかじめ『延長保育』というものを保育園側に頼む。


延長保育とは、クラス関係なく『延長保育』を頼んでいる園児たちを1つの部屋に集め、おかしなどを食べたり、遊んだりするもの。


延長保育ではない園児たちは、その時間までに普通は家に帰るのだ。


でもうちは延長保育を頼んでいなかった。


まあ5時ごろに迎えに来れてたんだから、頼む必要がなかったというか。


だから迎えがいくら遅くなろうと、延長保育の輪に入ることができなかった。


周りの子たちもみんな帰ってしまっていて。


今でもはっきり覚えてる、あの孤独感。


温かみのあふれる声がもれてくる、向こうの部屋。


周りはすっかり真っ暗で。


わずかに電気がついている広いホールのはじで。


・・・ただ、ひとり。


・・・たったひとりで。


ポツンと座って、絵をかいていたこと。


・・・あそこに、行きたい、入りたい・・・。


そう強く思ったのを忘れることができない。


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