【短編】ずっと大好き…ドキドキB.D…
「あの、もしかして佐倉さんの彼氏さんですか?」
浅井と同じ歳くらいの女が遠慮がちに尋ねる。
「…そうですけど」
「よかった~。
あの、申し訳ないんですけど…
実は今日、佐倉さん上司とか男性社員に無理矢理飲まされて…
途中から寝ちゃってるんです。
本当にすみません。
…送ってってあげてもらえませんか?」
その言葉に浅井の顔が歪んだ。
『無理矢理飲ましたって…
未成年ですよ?!』
そう言おうとしたが止めた。
そんな法律を守ってる会社なんかない事は分かっていた。
それでも苛立ちが襲ってきて…
車を降りて店内に向かう途中ですれ違った男の集団に口を開いた。
「まだ酒の席なんか慣れてないんで
あんま飲ませないでやってもらえます?」
本当は強く言いたい口調を出来る限り押さえた。
「お?
あぁ、佐倉の彼氏かぁ…
分かった分かった!
次からは気をつけます!」
そう言って敬礼の真似をした中年オヤジに苦笑いを浮かべながら
浅井が店内に入った。
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