【短編】ずっと大好き…ドキドキB.D…
1..彼女の誕生日
ドキドキB.D
「みのり、誕生日何が欲しい?」
4月の第3週目の火曜日、
信号待ちで停車した車の中で
浅井がハンドルに片手をかけながら聞く。
明後日の4月17日はみのりの19回目の誕生日だった。
「別に何でも…
指輪ももらったし特にいらないよ?
あ、でもケーキは食べたい!」
ニコニコ笑いながら答えるみのりに
浅井が笑みをこぼして…
「ガキ(笑)」
みのりが浅井の横顔をみながら
頬を膨らませた。
高校を卒業して1ヶ月ちょっと。
みのりは銀行で働いていた。
4月1日からの1週間の本店での研修を終え、
先週から支店に配属された。
そして支店でみのりを待っていたのは…
信じられないくらいの細かい仕事だった。
毎日毎日伝票の枚数を数えて
お客が持ってきた大量の小銭を両替して
細かい書類に不備がないかを調べて…
同じ仕事の繰り返しで飽きるとかそんなことより
その仕事の量の多さに正直少しダウンしていた。
それでも月曜日と火曜日は浅井が迎えに来てくれて…
その楽しみがみのりを支えていた。
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