【短編】ずっと大好き…ドキドキB.D…


『浅井さんごめんなさい…』


電話越しにみのりが謝った。


その言葉に返事もせずに浅井が不機嫌そうにソファに体を預ける。



「……」


『だって…断れないじゃん!

あたしのための歓迎会だよ?


それに…仕事の付き合いって大事だって浅井さんだってよく言ってたよ?』


2人で過ごす事を約束していた17日。


みのりは会社での歓迎会に誘われた。


支店に配属されてから1週間が過ぎて
いい時期だからと…

前日に上司に言われた。


支店全員が出席する歓迎会を主役のみのりが欠席するわけにもいかず…



「…わかってるよ」


『…じゃあ機嫌直してよぉ』



みのりの困ったような声に浅井が顔をしかめる。




浅井の部屋はいつもとは装いを変えていた。


『女の子はこうゆうのが好きなんだから!』

さっき悟がわざわざ飾っていった飾りに包まれていた。


窓にはキラキラ光るスプレー。


いつも何もないテーブルの上には花束。


悟が

『みのりちゃんにプレゼント』

と言って置いていったたくさんの風船…



今となっては目障りにしか思えない風船が

浅井の足元にまとわりついて…


浅井が蹴り上げる。



ふわふわと宙を舞ったいくつかの風船が
ゆっくりと落ちてきて…



浅井がため息をついた。




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