愛恋あいれん〜恋の練習してもいいですか?〜<短編集>
「 あのね…。 」


七歳の頃から私のパパになってくれた、
智央くん。

仕事から帰ってくると私の、
あのね…。って言葉を合図に私を膝に乗せて話を聞いてくれる。


だから、
あのね…。って言えば
大きな体を小さくして私な合わせてくれたんだよね。


いつからかな…
あの膝に乗らなくなったのは…。

いつからかな…
あのね…って話かけなくなったのは…。


そういえば、
25歳なのに急に7歳の娘が出来てしまった!
なんて智央くんってかわいそうだわ。


ママのことが大好きで仕方なく
私のパパになってくれたんだろうけど…
ママだって35歳になってたでしょ?

二人の恋愛を見ていたわけじゃないけど、
どんな恋愛してたねかな?って聞いてみたくなる年頃になりました。


「 あのね…。 」


久しぶりに話しかけてみた。

智央くんはビックリした顔!
18歳になった娘から、
あのね…。が聞けるなんて思わなかったのかな?


「 あのね…。
智央くんはママのどこが好きになってくれたの? 」


「 そうだなぁ、
仕事している姿がカッコよかった!かな?
昔のことで忘れちゃいました。 」


なんてママの写真にむかって笑っている。


ママが他界して8年になるんだよね。
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