愛恋あいれん〜恋の練習してもいいですか?〜<短編集>
「 私、
お兄ちゃんのそばにいると甘えすぎて…
何も出来ない子になっちゃうと思うの…
だから、
だから、少し外に出たい。 」
この言葉を残して琴美は姿を消した。
「 あなたが待っていてくれたから
あきらめないで
ここまで頑張れた。 」
「 琴美のことが好きだから、
それだけで琴美を見守ってくれたよ。 」
ニコッと笑ってくれている琴美。
3年ぶりに会えた琴美の顔は、
オレが知っている琴美ではなく
もっともっと女性らしくなっていた。
顔をみるのが照れちゃうくらいにね。
「 ねぇ
3年前はさ
お兄ちゃんだったから
今年からは名前を呼んでくれないかな?
もしかして忘れたわけじゃないだろう? 」
はにかんだ笑顔は
やっぱり変わらないね。
オレが知ってるままだ!
琴美が夢にむかって走り出した背中を
ずっと忘れたことなんてなかったよ。
だから、
これからも琴美のことが大好きだから
ずっと見守っているから…。
オレに出来ることは
それだけなのかもしれないなぁ。
琴美が幸せでいてくれることが
オレへの一番のプレゼントなのだから…。
「 あのぉ…
えっと…。
健哉…さん…。 」
顔を赤くして
うつむいてしまった琴美を強く抱きしめながら
幸せをかみしめていた。
end