口説き魔
転校
「ねぇねぇ香~。聞いた?」


鞄から教材を取り出して、机の引き出しにしまっている最中。


桃帋 香は、友人の水沢 静流にそう聞かれる。


「聞いたって…何を?」


思い当たる事が全くないので、顔をしかめて聞き返す。


「えっ!?ウソ、聞いてないの?今日ウチのクラスに転校生が来るらしいよ~」


「え、マジで!!?」


今は11月。


丁度本格的に寒くなってきたこの時期に、転校生なんて…。


季節外れだなぁ……。


「うん、マジで☆しかも超美形なんだって~」


超美形って…気になるとこソコ?


と、香は思う。


心の中で、突っ込む。


「静流サン?人は見た目だけで判断するものではありませんぞ?」


「あはは♪だって見た目もカッコいい方が良いじゃないっスか~」


「アタシは中身重視!」


「ウチは見た目重…」


が、静流の言葉は、先生が教室の扉を開けた音で遮られた。


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