オレンジ*ロード
----トントンー…
ノックして数秒、病室の中から『はい』という声が聞こえた
間違いなく彼女の声
ドアを開けると中は個室で、そこには白いベッドに横になってる彼女の姿があった
突然来た俺に彼女は慌てて体を起こした
『こ、幸汰…なんで?』
彼女の服装はチェックのパジャマ
『今日お母さんから電話をもらって…入院ってただの風邪じゃなかったの?』
彼女の部屋はベッドの横に冷蔵庫があり、その上にテレビが置いてある
彼女らしいと思ったのは、机の上に学校の教科書が置いてあった事
『お母さんが………そっか』
彼女はお母さんが俺に電話した事を知らなかった
俺はてっきり彼女が頼んだと思っていたのに
面会時間は10分しかない
聞きたい事は山ほどあるけど、やっぱり彼女の具合は本調子じゃないみたいだ
俺は少し冷静になり、ベッドの横にある椅子に腰かけた
すぐに彼女の額に手を当てて、熱がないか確認する
まだ少し熱くて、微熱がありそうだ
彼女は額にある俺の手を取って両手で暖めた
『寒かったでしょ?ごめんね。ちゃんと説明できないままで』
霜焼けになった俺の赤い手を彼女はギュッと握った