オレンジ*ロード
6時限のチャイムが鳴りホームルームが終わると、俺は急いで教室を出た
学校が終わったのは3時45分
一度家に帰れば5時を過ぎてしまう
俺は家には帰らず、そのまま病院に向かう事にした
昨日より寒さは和らぎ、時間に余裕があるからか俺の足取りは軽かった
病院の周りの景色は建物があって、彼女の好きな風景じゃない
きっとあの病室で窓の外を見ても、彼女はきっと笑わない
病院に着いて彼女の病室の前に行くと、中から彼女以外の声が聞こえた
聞き覚えのある声にゴクン…と唾を飲み、俺はドアをノックした
『どうぞ』
ゆっくりとドアに手をかけると、病室の中に居たのは彼女と彼女のお母さんだった
『あら、幸汰君よね?昨日も来てくれたんだって?すごく寒かったでしょう』
彼女のお母さんの声は電話で聞くよりも高く感じる
『あ…初めまして。昨日はわざわざ電話ありがとうございました』
俺は緊張しながら深く頭を下げた
顔を上げた先に見えたのは彼女とお母さんの笑う顔
『ね?私が言っていた通りの人でしょ?』
『そうね。すごく優しそうな子じゃないの。幸汰君初めまして、娘の母です』
二人の笑う顔は全く同じで、彼女がお母さん似だという事を初めて知った
それですぐに納得した
こんなに優しそうなお母さんから生まれた彼女が優しい訳を
こんなに笑うお母さんから生まれた彼女が笑う訳を
『今度うちにも遊びに来てね』
お母さんは気を使ってくれたのか、そう言ってすぐに病室を出た