オレンジ*ロード
俺達の病室での過ごし方はひたすら喋るか音楽を聞く事だった
勿論病院で音楽は流せない為、彼女のMDプレイヤーで聞いていた
話しをしている時は俺はベッドの横にある椅子に座るけど、
音楽を聞く時は必ず彼女の横に移動した
彼女はベッドの右側に寄り、俺はその空いたペースに座る
彼女は左耳、俺は右耳にイヤホンをさして同じ音楽を口ずさんだ
『私ね、今だにドキドキするの。幸汰がこんな近い距離に居る事』
彼女との距離はOセンチ
俺達の肩はピタリとくっついていた
付き合う月日が経てば経つ程ドキドキがなくなるというけれどそれは嘘だ
俺は一年以上彼女と居ても常にドキドキするし、今だってそう
『実は俺も……』
照れながら彼女の方を向いた
1秒…2秒…と目が合い、俺達は自然にキスをしていた
俺は彼女の体を抱き寄せ、頭を撫でた
『早く病気を治して色々な所に遊びに行こう。いつも大した場所に連れて行ってあげられなかったから』
移動手段はいつだって自転車で、行ける所の範囲も決まってた
だけどこうして自由になれないと、行きたい場所が次々と頭に浮かんでくる
『私、オレンジロードに行ってみたい』
俺の腕の中で彼女が言った