オレンジ*ロード
学校では新学期が始まり、俺は高校3年生になった
進路を本気で考えなくてはいけない時期になったが、俺の心は決まっている
それはこの町に残り、この町で働く事
難しいと周りや先生ですら言うけれど、これは揺るぐ事のない答えだった
彼女と離れる事なんて出来ないし、俺はそんな彼女をずっと支えると決めたから
犠牲になっている訳じゃない
俺は俺の為にこの決断をしたんだ
病院に向かう途中、学校の周りに咲いている桜の花びらを何枚か拾った
それをハンカチに包み、折れ曲がらないようにポケットに閉まった
通い慣れた病院は顔見知りも増え、看護婦さんとも話しをするようになっていた
彼女の病室に行き、俺はハンカチを机の上に置いた
最近彼女の具合はあまり良くなくて、俺が病室に行っても寝ている事が多々あった
寝ているから一度だけ何も言わずに帰ったら次の日彼女にすごく怒られてしまった
彼女にとって1日の楽しみは俺と会う事だから
俺はカバンから教科書を取りだし、彼女が起きるのを待った
勉強なんてするタイプじゃなかったけれど、最近は少しでも内申書を良く書かれる為勉強はするようにしている
---暫く経ち、彼女は目を覚ました