オレンジ*ロード
俺は自転車を止め、迷う事なくホームランバーを二本買った
このアイスがなかったら、俺と彼女はこんな関係にはなれなかった
このアイスがあったから俺は彼女に気持ちを伝え、
今も一緒に居る事が出来るんだと思う
俺は絶対このアイスの味を忘れないし、食べる度に彼女を思い出す
彼女もそうだといいな
俺は右手でアイスを持ち、左手でハンドルを握った
『今度はボトッと落ちないようにしないとね』
彼女が急にクスクスと笑い始めた
二人してアイスを落としてしまったあの時の事がまるで昨日の出来事のようだ
『それはそれで思い出になるからいいよ』
俺はバニラアイスが溶けないように食べながら言った
--その瞬間、彼女は再びピタリと俺の体にくっ付いた
『あの時から始まったんだよね、私達』
俺は今までの事を思いだし、腰にある彼女の手を握った
『違うよ』
『………?』
『あの時からじゃなくて俺はずっと前から始まってた』
“幸汰君ってこの町好きでしょ”
たぶん彼女に話しかけられたあの日から、俺は彼女の事が好きだった