オレンジ*ロード
理由なんてない
そうゆう運命だったんだと思う
彼女はスカートのポケットからMDプレイヤーを取り出した
お気に入りの曲を流し、その片方のイヤホンを俺の耳に取り付けた
その曲は二人で良く聞いて口ずさんでいた曲
彼女は切ない曲でも失恋の曲でもバラードはあまり好きじゃない
いつだって元気が良くて明るい曲が好きだった
俺達のこれからの道のりを応援してくれているような明るい曲は、俺の自転車をこぐスピードを自然に早くした
『これからどこに行くの?』
彼女の問いに俺は力強く答えた
『二人が行きたかった場所』
それは遥かに長い道のりになると思う
だけど俺の後ろには彼女が居る
俺は彼女が行きたいと言っていたあの場所に向かっていた
俺達の町から70キロ離れた街にあるサイクリングロード
そこに行くまでに3時間以上かかると予想していた
時間はまだ午前中だし、お昼に着けたとしてもそれから上級者コースに行くとしたら時間的にギリギリだった
『無理しなくてもいいんだよ…?』
彼女が不安そうに俺の背中の服を掴んだ
『無理してないよ。俺が連れて行ってあげたいの』
彼女が珍しく行きたいと要望したオレンジロードへ