オレンジ*ロード




ベッドの脇の机には綺麗に畳まれた白いワンピースがあった

きっと彼女は明日の外出の為に用意していたんだと思う


初デートに来ていた白いワンピース

もう一度彼女に着せてあげたかった


もう一度だけでいいから、彼女の笑う顔が見たかった


彼女はきっと誰よりも明日を楽しみにしていた

ずっとずっと行きたかった場所

俺も彼女のまだ見た事のない景色


彼女の死を受け入れられないまま、葬儀の日程が決まった


それは明後日の9月2日


彼女がここに居るのは後2日

彼女がこの世界に居るのが後2日



ずっと一生に居れると思った

ずっとずっと彼女のそばに居てあげれると思ってた

だけど後2日


彼女と俺が一緒に居れるのはもう2日しかなくて、彼女は俺の知らない場所へと行ってしまう


手を伸ばせば彼女に触れる事が出来て、今だってこんなに近くに居るのに

もう彼女に触れる事も抱き締める事も出来ない



だから俺は決めた

この2日間で出来る事を全てやろうと


彼女の肉体がこの世界にある内に

彼女が俺と同じ世界に居る内に


俺はあの場所に彼女を連れていく決意をした





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