オレンジ*ロード
“あなたと過ごす時間が一番幸せです。私を好きになってくれてありがとう”
“あなたと過ごす時間が一番幸せです。俺を好きになってくれてありがとう”
隣同士に貼られた紙には全く同じ事が書いてあった
それを見た瞬間、涙よりも笑みが溢れた
色々な言葉がある中で同じ事を書いた俺達はやっぱり“俺達らしい”と思った
俺はこのオレンジ色の町を目に焼き付けた
一生忘れないように
この気持ちが色褪せないように
クルッと町に背を向けて俺は自転車に乗った
今まで通って来た道がオレンジに染まり、まさにこれがオレンジロード
『帰ろう、一緒に』
彼女の返事は聞こえないけれど、目を閉じれば彼女は今でも俺のそばに居る
俺はペダルに足をかけ、前に進んだ
上り坂だった道は下り坂になり、俺がペダルをこがなくても勝手に進む
まるで彼女が背中を押してくれてるみたいに
“約束しようよ。私達は変わらないって。前を見て生きていくって”
約束する、絶対、一生約束する
俺は下を向かない
絶対絶対に前だけを見て生きていくと約束するよ