山桜【短編・完結】
それから、あたしたちは固く手を握り合い、公園内を歩く。

同じように手を取り合い、仲良さそうなカップルを目にする度に、

あたし達も恋人同士に見えるのかな?

と、回りの反応が気になる。

隆はどう思ってるんだろう?

隆の気持ちが知りたい。


………。


そんな風に考えていたら、

「あのコ、万里ちゃんじゃない?」

隆が目で合図する。

隆の視線の先、前から腕を組んで歩く一組の男女。

ミニスカートの女の子は確かに、万里だ。

『彼と行く』

そう言って、あたしとの花見を断った薄情な友達の…。

「あれぇ、莉奈!?」

向こうも、あたし達に気がついたみたい。

「と、隆くん??」

一段と大きな声で驚く、万里。

隣の隆に気がついて、不思議そうな顔をしている。

「よお!」

隆はこのシチュエーションをなんとも思わないのか、普通にあいさつしてる。

おまけに…。

「おまえらって、付き合ってたんだ?
全然知らなかったよ!」

なんて言ってるし。

じゃあ、あたし達ってなんなのよ!

心の中、隆にツッコミを入れる。

「隆くんと莉奈も、付き合ってたの!?」

ほらね。
万理から突っ込まれた。


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