おうさまげぇむ。
私は公園のベンチで、花壇の上で風に揺れる秋桜を見ていた。
不意に、視界が少し暗くなる。
見上げると、椙村くんが立っていた。
『こ…こんにちは、椙村くん』
「…こんちは」
チラリと私を見て素っ気なく答え、私の隣にストン、と腰を下ろした。
椙村くんは、モスグリーンの無地のTシャツに、前が開いた紺のチェックの長袖の羽織り、紺のダメージジーンズというラフな格好だった。意外にも、チュッパチャップスを舐めていた。
『椙村くん、それ何味?』
「…オレンジ」
会話はすぐ終わった。